まず、チャットとエージェントの違い
ChatGPTやGeminiのチャットは、聞いたことに答えてくれる相談相手です。
CodexのようなAIエージェントは、パソコンの中のファイルを読んで、作って、保存するところまでやってくれる「仕事を任せる新人」です。
💬 チャット
1つ聞くと、1つ答えが返ってくる。
ファイルは自分で1つずつ貼る。結果は画面の文字。
🤖 エージェント(Codex)
フォルダごと任せると、何十個のファイルでも順番に読んで、表やレポートをファイルにして保存してくれる。
フォルダの中身をまとめて読み、比べた結果をファイルにして渡してくれる
だから、頼み方も変わります
チャットの答えは画面の文字で終わりますが、エージェントはパソコンの中で実際に作業をします。そのぶん、頼み方のコツが違います。
| 💬 チャット | 🤖 エージェント | |
|---|---|---|
| 頼んだ結果 | 画面に答えが出るだけ | ファイルを作る・書き換える・保存する |
| 失敗したとき | 聞き直せば済む | ファイルが変わってしまうことがある |
| 渡すもの | 質問の文章 | フォルダごと(材料のファイル) |
| 頼み方のコツ | 答えを見て、一言足して聞き直す | 作らせる前に、中身と約束を先に決める |
| 終わったあと | 答えを読む | ファイルを自分で開いて確かめる |
チャットは「あとから直す」頼み方、エージェントは「先に決めておく」頼み方です。
ただし、「誰向けか・何に使うかを伝える」「いい感じに、ではなく具体的に伝える」の2つは、どちらでも効きます。
エージェントに向いている仕事の見分け方
次のうち2つ以上当てはまるなら、チャットよりエージェントの出番です。
- 📁 ファイルがたくさんある(毎月のCSV、商品ごとのメモなど)
- 🔁 何段階もの作業がある(読む → 計算する → 比べる → 表にする → 保存する)
- 📅 毎月・毎週、同じことをくり返す
毎月のビジネスレポートや広告レポートをフォルダにためている方は、3つとも当てはまります。このページでは、これを例に進めます。
頼み方は、この順番
いきなり「作って」と頼まず、新人に仕事を教えるつもりで、順番に進めます。ボタンを押すと、そのステップへ移動します。
準備
任せる前に、作業用のフォルダを用意する
AIが触ってよい場所を、先に決めておきます。もし間違えても、元のファイルが無事なら安心です。
- 毎月のCSVが入ったフォルダをまるごとコピーして、「月次レポート_AI用」という名前にする(元のフォルダはそのまま残す)
- CSVの中に、お客様の名前や住所などが入っていないか開いて確かめる。入っていたら、そのファイルは入れない
- Codexを開き、作業するフォルダとして「月次レポート_AI用」を選ぶ
ステップ1
1いきなり作らせず、AIに質問させる
AIは、あなたが何に使いたいのかを知りません。AIのほうから1つずつ質問してもらうと、自分でも気づいていなかった「やりたいこと」がはっきりします。
このフォルダには、Amazonのビジネスレポートと広告レポートのCSVが、月ごとに入っています。 これを使って、月ごとの売上と広告の成果を比べたいです。 まだ細かいところは決まっていません。 私の目的が分かるまで、1回に1つずつ質問してください。 専門用語は使わず、初心者にも分かる言葉でお願いします。 私が「進めて」と言うまでは、作り始めないでください。
→ AIから「どの数字をいちばん見たいですか?」「何か月分を比べますか?」のような質問が1つずつ来ます。分かる範囲で答えましょう。
質問が難しくて答えられないとき
その質問は、私には判断が難しいです。 選べる案を2〜3個と、それぞれの違い、今回のおすすめ、あとから変えられるかを教えてから、もう一度聞いてください。
ステップ2
2作る前に、決まったことをまとめさせる
作り始めてから「思っていたのと違う」と分かると、やり直しが大変です。作る前に、AIの理解を文字で出してもらい、ここで食い違いを見つけます。
作り始める前に、ここまでで決まったことを次の6つで短くまとめてください。 1. 何を作るか(保存する場所とファイル名) 2. 何を材料にするか 3. どうなっていれば完成か 4. どのファイルを操作するか 5. 私の確認が必要な操作 6. 完成したら、私が何を開いて確かめればよいか まとめたら、私の返事を待ってください。
まとめを読むときは、ここを見ます
- 「3. 完成」が具体的か(例:月ごとの売上・注文数・広告費・広告からの売上を並べた表と、前の月と比べたグラフ)
- 見たい数字が抜けていないか。違っていたら「広告費1円あたりの売上も見たい」のように、その場で伝える
- 「4. 操作するファイル」が、作業用のフォルダの中だけになっているか
ステップ3
3守ってほしいことを添えて、任せる
「元のファイルは書き換えない」「どこに保存するか」を最初に伝えておくと、安心して任せられます。計算のしかたも書き残してもらうと、あとで確かめやすくなります。
その内容で進めてください。このフォルダの中だけで作業してください。 元のCSVは書き換えたり消したりせず、結果は「分析結果」という新しいフォルダに保存してください。 レポートの最後に、計算に使った列の名前と計算のしかたを書いてください。 ファイルの削除、インターネットへの接続、新しいソフトのインストールが必要になったら、実行する前に私に確認してください。 終わったら、保存した場所と、私が確かめるべき点を教えてください。
許可を求められたら、内容を読んでから許可しましょう。分からないときは許可せず、「これは何をする操作ですか?元に戻せますか?初心者向けに説明して」と聞き返します。
ステップ4
4「完成しました」をうのみにせず、自分で確かめる
AIは、計算の元にする列を取り違えることがあります。全部を見直す必要はありません。1か月分だけ、本物と見比べれば十分です。
- 「分析結果」フォルダの表とレポートを開く
- どれか1か月の売上の合計と広告費の合計を、セラーセントラルの画面と見比べる
- 合っていれば、ほかの月も同じ計算なので安心できる
違うところがあったら、こう伝える
「なんか違う」ではなく、どこが・どうなってほしいかを伝えるのがコツです。
作ったものを確認しました。 ・このまま残してほしいところ:[例:月ごとに横に並んでいる表の形] ・違うところ:[例:9月の広告費が、セラーセントラルの画面より多い] ・こうなってほしい:[例:画面と同じ金額になってほしい] ・直したあとに確かめること:[例:9月の広告費が画面と合っているか] 直す前に、原因とどう直すかを短く説明して、私の返事を待ってください。
ステップ5
5うまくいった手順を「スキル」として保存する
スキルは、AIのための作業手順書です。保存しておくと、来月からは新しいCSVをフォルダに入れて、ひとこと頼むだけで同じレポートができます。
今回の手順を「月次レポートの比較」というスキルとして保存してください。 来月からは、新しい月のCSVをフォルダに入れて「月次レポートの比較をして」と頼むだけで、今回と同じ形の表とレポートができるようにしてください。 元のCSVを書き換えないこと、作る前に私に確認することも、手順の中に入れてください。
来月からの頼み方:
月次レポートの比較をして。今月の分のCSVをフォルダに追加しました。
困ったときは
| こうなったら | こうする |
|---|---|
| AIの説明が難しい | 「専門用語は解説しながら、初心者にも分かるように説明して」と頼む |
| 何を許可してよいか分からない | 許可せず、「この操作で何が起きるか、元に戻せるか」を聞く |
| やりたいことが多すぎて、まとまらない | 「必ず要るもの・あると良いもの・今は要らないものに分けて、まず一番小さい案を1つすすめて」と頼む |
| 直してもらっても、うまくいかない | どこが違うかを、ステップ4の形でもう一度具体的に伝える |
| 前とは別の仕事を頼みたい | 新しい会話(スレッド)を始める。1つの会話には1つの仕事 |
まとめ
| ステップ | やること | ひとことで |
|---|---|---|
| 準備 | フォルダをコピーして、そこで作業させる | 触ってよい場所を決める |
| 1 | AIに質問させて、やりたいことを固める | いきなり作らせない |
| 2 | 作る前に、決まったことを6つでまとめさせる | 食い違いを先に見つける |
| 3 | 守ってほしいことを添えて任せる | 元のファイルは書き換えさせない |
| 4 | 1か月分を、本物の画面と見比べる | 「完成しました」をうのみにしない |
| 5 | 手順をスキルとして保存する | 来月から、ひとことで済む |
もっと自動にしたくなったら(仕組み化)
ここまでできたら、次は「毎回頼まなくても回る形」にしていけます。やり方を自分で調べる必要はありません。同じ会話の続きで、そのままAIに聞けば大丈夫です。
これを仕組み化するためにはどうしたらいいですか? 初心者にも分かるように、選べる方法と、それぞれの手間と注意点を教えてください。 まだ何も変更せず、私の返事を待ってください。
→ AIが、今回の作業に合った方法をいくつか教えてくれます。そこから先も、このページと同じ順番(質問させる → まとめさせる → 任せる → 確かめる)で進めましょう。
これでも分からない方は、8月の大阪のAI実践会でこのことについて詳しく説明しておりますので、その資料をご購入いただけると、スムーズに仕組み化できるかなと思います。